極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
今日配達の依頼を受けたのは店から自転車で数分の大学病院。
だだっ広い敷地は移動するだけでも大変だけれど、幸い依頼を受けたのは救急外来で、裏口から入って少し行くだけで到着する。

「こんにちわ、コットンハウスです。お昼の配達に伺ったんですが・・・」

救急外来の受付に回り声をかけてみる。
平日のお昼だけあって待合に人は少ないけれど、救急車も入っているようでバタバタと忙しそうに動いているスタッフたちが見える。

「すみません、ちょっとお待ちくださいね」
通り過ぎる看護師さんが申し訳なさそうに駆けて行った。

「あの・・・大丈夫です」

患者さんの治療のためにみんなが働いているんだろう現場で、お昼ご飯ごときで急かすなんて申し訳ない。
私は待っていますからの気持ちを込めて、遠ざかっていく背中に声をかけた。
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