極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
なぜ私がこんなに頑なに男性を拒絶しようとするのか、それには10代の頃のトラウマがあるから。

私の両親は教師をしていて留守がちな上、4歳下の妹は体が弱くて病院とは縁の切れない子だった。
そんな妹に両親はかかりきりで、私に構う余裕がなかったんだと思う。
「美貴ちゃんはお姉ちゃんだから1人で大丈夫だよね?」そう言われてお留守番することも珍しくはなかった。


「おや美貴ちゃん、いらっしゃい」

そんな私の隠れ家は近くの喫茶店。
そこには優しいマスターがいて、私が行くと温かい飲み物を出してくれた。

「今日はココアだぞ。サービスでマシュマロも浮かべておいたからな」
「うわー、ありがとう」
「あー僕もココア」

私が店に顔出すと必ず寄ってきたのがマスターの息子の駿くん。
私より2つ下で、いつもそばをついて歩く駿くんをかわいい弟のように思っていた。
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