極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「あ、ちょっと待って」
私が椅子から立ち上がろうとした瞬間、泉美が止めた。

見ると、若い女性の二人ずれが男性に声をかけている。
どう見ても私達よりは若そうで、かわいい女の子。
どうやら先を越されたなと思っていると、一言二言会話を交わした後女性たちは男性から離れて行った。

「断られたみたいね」
私と同じように動向を観察していた泉美が声を落として呟く。

「そうね」

決して怒っている様子ではないけれど、ニコリともせずに断ったってことは全くその気がなかったってことだろう。
この状況で私が声をかけてもきっといい結果にはならない。
どうやら今夜はあきらめた方がいいみたいね。

「やめとく?」
「うん」
駄目だとわかった勝負に出るほど、私も若くはない。

その時、

「ねえお姉さんたち」

二人連れの若い男性に声をかけられた。
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