極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません

またまた再会

こと恋愛に関しては逃げ腰な私。
経験が少なくて慣れていないのは認めるけれど、気が付けばそんなこと言える年齢でもなくなったのに、私にはその実感がない。
「また会いましょう」と約束した太郎さんにも、『連絡が欲しい』と言ってきた駿にも返事を返すことなく半月が過ぎたある日。


「あれ、泉美さん」
バイトの沙月ちゃんが驚いたように声を上げた。

普段から月に数回店に顔を出す泉美だけれど、突然やって来ることはない。

「いらっしゃい泉美。どうしたの?」
珍しい、今日は子供達も一緒だ。

「もー、最悪よ」
ブスッと唇を尖らせて、不満顔の泉美。

どうやら何かあったようね。

「とにかくどうぞ。子供を連れての移動で疲れたでしょ」

1歳半の双子を1人で連れ歩くのはかなりの重労働。泉美もそれがわかっているから、いつもは実家かシッターさんに2人を預けてうちに来る。
こうやって子連れで現れることは滅多にないのに、少しイヤな予感がするな。
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