極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
結局受診したのは近くの大学病院。
少しでも早く診てもらいたくて、ここに決めたらしい。

「ごめんね美貴」
「気にしなくていいのよ」

あの後大地君を置いて泉美が出ていこうとしたんだけれど、ものすごく泣かれてしまってできなかった。
結局沙月ちゃんが「店番しておきますから、一緒に行った方がよくないですか?」と言ってくれて、私も病院へついて来ることになった。

「旦那さんには連絡したの?」
「うん。でもあと2時間くらいは仕事が抜けられないらしいわ」
「そう」
仕事じゃ仕方ないわよね。

「原田さーん、原田未海さん診察室にお入りください」

「呼ばれたね。一緒に行こうか?」
「うん、お願い」

こんな弱気な泉美は本当に珍しい。
それだけ動揺しているってことだろう。

「じゃあ、行こう」

私が大地君を抱き、泉美が未海ちゃんを抱いて私たちは診察室へと入った。
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