極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
結論から言うと、泉美の旦那さんは浮気をしているわけではなかった。
『AOI』は実のお姉さんのことで、本名の『葵理子(きりこ)』からつけたもの。お姉さんから離婚の相談を受けたのを周りの人に知られないないように『AOI』の名前で登録していたらしい。

「でも、それなら言ってくれればよかったじゃない」
ここしばらくずっと悩んでいた泉美が文句を言ったけれど、
「姉さんが誰にも知られたくないって言ったんだよ」
旦那さんはこんな形で公開しなくてはならなくなったことが不満そう。

私は普段から自分の行動を後悔しないことにしている。
どんなに悪い結果になってもそう選択したのは私自身だから、後悔すれば悩んだ自分を否定することになる。だからこそ極限まで考えて悔いのない答えを出さないといけないと、心がけている。
それでも、間違ったり人に迷惑をかければ謝らないといけない。
そのくらいのことは私にもわかる。

「すみません。私が出すぎた真似をしました」
こうなったら言い訳はできない。

「いいんです。泉美を不安にさせたのも、直接相談してもらえなかったのも、僕の不徳です。美貴さんのせいじゃありませんよ」
「・・・でも」

私が余計なことを言わなければ、もう少し穏便な解決の仕方があったはず。
そう思うと、申し訳ない気持ちしかなかった。
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