極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません

まさかの妊娠

「どうしたの?」

太郎さんお勧めのカフェに入り、とりあえず紅茶とサンドウィッチを注文して10分。
まったく口をつける様子のない私に、太郎さんが首を傾げる。

「あまり食欲がなくて」

今日一日のバタバタで、最近溜まっていた疲れがまとまって出たらしい。
さっきからすごく体がだるいし、なんだかムカムカして気持ち悪い。

「やっぱりどこか悪いんじゃないの?」
「いえ、そんなことは・・・」

まさか「ストレスです」なんて言えるわけがない。
じゃあ何が原因でってなれば、太郎さんの事だってその一因なんだから。

「診察しようか?」
はあ?
「私、大人ですよ」
「知ってます。体の隅々まで見たからね」

カァーッと、顔が熱くなった。

「やめてください。これもお仕置の続きですか?」
だとしたらとっても悪趣味。

「半分は本気で心配している」

じゃあもう半分は何よ。

「ご心配いりません。少し疲れただけです。ゆっくり休めば元気になりますから」
だから早く帰らせてほしいの意味を込めてみた。

「そんなに僕が嫌い?」
「え?」

あまりにも唐突で、まっすぐな問い。
自分でそう差し向けておきながら、私は答えられなかった。
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