極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「それは、美貴さんの本心?」
「はい」
・・・嘘。

でもここで踏ん張らないと、この先大変なことになる。
私は覚悟を決めて、太郎さんを見つめ返した。

「お互いもういい年ですよ。子供じゃないんです。たった一晩寝たくらいで付き合うとか、おかしいでしょ。太郎さんだってそのつもりなんだろうと思っていましたけれど、違いましたか?」

あの日の出来事は一夜の遊びだった。
大人な関係として割り切って忘れてほしい、私はそう伝えた。

「最初からやり逃げするつもりだったの?」

やり逃げって・・・

「好きな人がいるのに、僕に抱かれたの?」

「さっきからそう言っています」
だから、私のことは忘れてください。

「わかったよ」

フー、よかった。
これ以上食い下がられたら負けそうだった。

「美貴さんが嘘つきだってことがよく分かった」
「はあ?」
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