迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
助けた対価の要求(四)
「だいたい、この町には一番あふれてはマズいものがあるだろう。争いに敗れた源氏がいた窟いわやが。あそこから、怨念とかいろんなものが出てこないようにしてるんだよ」
「それがうちの一族」
「そうだ。しかし本家の人間がみんな死んで、当主はすでに高齢で力がなくなってきている。次の当主が誰になるのかと、人間でなくてもみんな興味津々さ」
「もしかして、それで私は追いかけられたの?」
思わず、彼の服をつかむ。
たったそれだけのことで、あんな怖い思いをするなんて。
だいたい、私は家を継ぐ気なんてこれっぽっちもないというのに。
「ま、興味本位だな。理不尽だと思おうが、人間とそれ以外のモノの理念というものは違うんだ。人を食べるためにいるものや、人はオモチャだと思っているもの、自分と同じように向こうの世界に引き込もうとしているもの。そんなのが、人と同じ数ぐらいいると思っている方がいい」
「……もしそれが本当だとしたら、どうしてあなたは私を助けてくれたの?」
彼の瞳をじっと見つめる。
「言ったろう、ただの偶然だと。それに俺としては、助けた対価さえもらえればなんでもいいんだ」
少なくとも、その瞳は嘘を付いているようにはみえなかった。
でも、対価とはなんだろう。
助けてもらったのだから、なにかを払わなければいけないとして、でも神獣はお金など使わないだろうし。