迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
対価は添い寝(二)
「神隠しといえど、こっちの世界にいる以上は段階を踏まなきゃ攫さらうことは出来ない。まずは対象を追いかけて追い詰め、恐怖を埋め込み、顔を見せることで追いかけられている者にそれを自覚させる。その上で捕まえ、こっちの世界から妖の世界へ引き込むのさ」
「でも、あの時ちゃんと逃げ切ったはずなのに」
シンと二人で手をつなぎ、神隠しの作った回廊から確かに逃げ出せたはず。
それなのに、今度は夢の中まで追いかけてくるなんて。
「よほどお前が欲しいんだろ、あいつらは。しかもあの時お前の持っていた人形をお前の代わりとして使ったから、そこから辿って追いかけてきたんだろう。まったく、しつこいこった」
「ちょっと、何帰ろうとしてるのよ」
本以外にも供えたものを両手に持ち、そのまま竹林へと消えていこうとするシンの着物のすそをつかむ。
何か問題でも? と言わんばかりにシンが怪訝そうな顔をするが、私だってここで引き下がるわけにはいかない。
「相談と説明が終わったんだから、フツー帰るだろ」
「いやいやいやいや、相談と説明だけでその対価は少しもらいすぎでしょう。さっきの説明だと、私今日にでもつかまっちゃうよね」
「んー、まあ、そうだろうな」
悪びれもなくシンがサラっと返す。