迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
女子高生のお部屋(二)
「シン」
「なんだ千夏、そんな情けない声だして」
「べ、別に情けなくなんてないし。遅かったから、何かあったのか少し心配していただけよ」
「んあ、ちょっと本を読むのに手間取って……」
「うわ、変態」
まさか私と別れてから、ずっとあのエロ本を読んでいたのだろうか。
これで神様だとかいうのだから、神様の定義とはいったい何なのだろうかと考えてしまう。
「あのなぁ、文句があるなら俺は帰るぞ」
「ナンニモアリマセン」
片言で返す私にやや呆れた表情を見せる。
呆れたいのは私の方なのだが、ここはぐっと我慢する。
「手を貸してくれ」
窓枠に乗っているのに手を貸すというのはどういうことなのだろうかと思いながらも、私はシンに手を差し伸べる。
私の手が窓よりも外へと出たところで、シンが窓枠をつかんでいない方の手に触れた。
そしてそのまま私の部屋へと入ってくる。
「どうかしたの? そのまま入ってくればいいのに」
「いや、招かれないと入れないようになってるんだ」
招かれないと入れない? ん-?
神様はそういう仕組みにでもなっているのかしら。
でもそうではなくこの家が、となると、家自体が招かれない者は入れないようになっているという意味になってしまう。
それはそれで、なんだか少し気味が悪い。