迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
女子高生のお部屋(三)
「ねぇ、シンそれって……」
「一人暮らしのわりには、ずいぶん綺麗なんだな」
私の言葉を遮るように、シンが部屋の中を物色しながら声をかけてきた。
部屋の中央に敷かれた布団、そしてその横に並べられた前の家から持ってきた人形たち。
あと窓際に置かれた勉強机と洋服ダンス以外は何もない。
引っ越してきたばかりだからというのもあるが、なんとなくこの家で物を増やす気にはなれなかったのだ。
「物が多くないだけだよ。それに一人暮らしじゃないし。二階は確かに私しかいないけど、一階にはおばあちゃんとお父さんがいるよ?」
こっちに帰ってきてから掃除と家事などの身の回りの世話は、ほどんどが祖母がしてくれている。
帰って来たばっかの頃に手伝うと申し入れたのだが、順番がくるうと分からなくなるからと断られてしまった。
それ以来、手を出さないようにしている。
父は父で相変わらず、何をするわけでもなく自室か縁側でゴロゴロする毎日を送っていた。
「……そうか」
シンが何かを言いかけてやめ、ただ私の顔をじっと見つめていた。
その瞳がなぜか悲しみをたたえている。
しかしそれも一瞬のことでシンは私の頭に手を置き、くしゃくしゃとなでる。
「わ、ちょっと」
「んあ? いい子いい子してやっただけだろ」
「もう。子どもじゃないし」
「俺からしたら、おこちゃまだよ」
確かにシンがいくつかは知らないが神様や神獣という以上、相当長生きなのだろう。