迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
女子高生のお部屋(五)
「ぼ、暴力反対」
「どの口が言うのよ。ま、いいよ。後ろから抱きしめる。考えたら、その方が安全かもしれないと思えてきたから」
後ろからなんとか羽交い絞めにして寝れば、ちょっかいをかけることは出来ないだろう。
手だけだと、なんだか安全ではない気がしてきたからちょうどいい。
「な、なんかドキドキするな」
布団に先に寝転んだシンが意味不明なことを呟いている。
いや、今から私たちは何をしようとしていたのだろう。
痛くなる頭を押さえつつ、私はシンを後ろからそっと抱きしめると見せかけ、思いきり羽交い絞めにした。
「お、おい。ちょっと待て。せめてもう少し力を緩めるか、こうぴとってくっつくとかないのかよ」
「ないわね。さっさと寝ましょう。時間の無駄」
「これは添い寝とは言わないだろう」
「はいはい。女子高生との初添い寝で興奮しているのですね、分かります。とっとと、寝て」
ぶつくさと文句を言うシンを無視し、私は勝手に眠りについた。
不思議と、ずっと感じていた恐怖や不安感はシンにくっついて寝ることで頭の片隅にも残ってはいなかった。