迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
本家からの招集(三)
祖母の小言を聞き流す。
大昔どこかの藩主だったとか、関所を守っていたとか、神社の神官だったとかそんな話だ。
しかしそんなことをこの現代に言われても、どうしろというのだ。
私に言わせれば、しょせん小さな町で威張り散らしている地主に過ぎない。
「はぁ」
出された麦茶を一気に飲み、こっそりため息を吐き出す。
「……本家に呼ばれれば、分家は従うしかないんだよ千夏ちゃん」
「ああ、そうですか」
何時代だよと、心の中でだけ思う。
本家だろうが分家だろうが、私には正直どうでもいい話だ。
高校さえ卒業してしまえば、私がここにいる意味はなくなる。
どこかの町で働きながら、一人で暮らせばいい。
ここに来た時からずっと、ただそれだけを考えていた。
「もういいよ、コンビニ行ってくる」
「下に降りるならちょうどいい。千夏ちゃん、本家へお土産を持って行っておくれ」