迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
常日頃からの行動は(二)
現実世界で逃げたために夢の中まで追いかけてきたというのなら、逃げるだけでは対処できないことはすぐに分かることだろう。
頑張って添い寝までしたのは、何も一緒に追いかけっこをして欲しかったからではない。
一人よりは心強いのは確かだが、解決しなければ意味がないのだ。
「お、それいいな。やってみよう」
明らかに何か企んでいるような笑みを返したかと思うと、シンはつかんだ私の手を引っ張った。
体がバランスを崩し、倒れそうになったところを抱き留められる。
「な、なに。どういうこと?」
わけの分からないまま立ち止まり、シンは私の体をくるりと神隠しの方へ向ける。
抗議が届くわけもなく、私はこの時初めて自分を追いかけている神隠しの正体を見た。
大きさはちょうど三歳くらいの女の子だ。
赤い着物を着て、おかっぱ頭の。どこかで見たことがある。
「市松人形……」
私が声を発すると自分を自覚したことがよほどうれしかったのか、その人形の顔は歪んだ笑みを見せた。
そして、距離をゆっくり、ゆっくり縮めてくる。