迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
本家からの招集(四)
家からコンビニまでは山を下ってさらに進み、三十分以上かかる。
しかも本家はコンビニより手前だ。
ついでと言えばついでなのだろうが、はっきり言って気乗りしない。
「おばあちゃん、そんなの明日の集まりで持っていけばいいじゃないの」
明日はちょうど一族全てが集まる集会がある。
お土産などその時で十分なはずだ。
「なに言っているんだい、明日の集会のために準備があるのだから今日持って行っておくれよ」
「千夏」
「もぅ、なにそれ……」
帰りたくもなかった田舎の、顔を出したくもない本家。
しかしもうこれ以上、この会話を続けることすら今の私にはめんどくさい。
「持っていけばいいんでしょ、持っていけば」
「頼んだよ千夏ちゃん。ああほら、そんな風に日陰で下を見ながらずっと歩いてはいけないよ。連れて行かれてしまうから」
「はいはい」
そういえば、昔からよく言われていたな。
日差しの強い日に、暗い影ばかりの道で下を向いて歩いていると影の世界に連れて行かれるよだなんて。
今にして思えば迷信の類で、溝に落ちるとかきっとそんなところだろう。
私は荷物を受け取ると、イヤホンを付けて歩き出す。
平日の昼間だというのに、暑いせいか誰一人歩いている人はいなかった。