迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
道祖神(三)
「お前さん、関の者じゃないんかね」
「そうですよ。でも、別になーんの力もないし、ここでは仲良く話せる友達もいないし」
「だからって、怪異においそれと話しかける者がどこにおる」
確かに、普通はいないだろう。
今さっき会ったばっかりで別に親しい間柄というわけでもなく、まずもって人でもないというのに。
しかし自分のおばあちゃんに話しかけているような安心感がある。
この町に来てシンと知り合ってから、怪異との距離が近くなってしまったせいだろうか。
「同じであって、同じではないからだよ。人に味方するモノ、見守るモノ、敵対するモノ、食うモノ、引き込みたいモノ。同じように見えても、同じではないということさ」
「つまり、そのモノたちの思考によって人間がその役割ごとに名前を決めたということなんですね」
途中、物騒な文言が出てきていたが、神隠しは一番最後の引き込みたいモノということだろう。
同じではあって同じではない。
でもこれは怪異だけではなく、人にも言えることだ。
全部の人間が皆聖人ではない。
同じ人間という括りであっても、人を殺す者もいれば悪の道に引き込もうとする者も大勢いる。
そう考えると、人であっても怪異であってもあまり大差ないのではないのだろうか。