迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
動かない自転車(二)
「自転車ってどこで乗れるんですか」
「あー、いやーうん。公園では乗れると思うけど」
「公園で自転車」
練習をする子どもでないのに、なぜわざわざ公園まで行き自転車に乗らなければいけないのだろう。
しかしこの商店街の人も、それ以外の価値を思いつかない様子だった。
じゃあ、なぜ特賞を自転車にしたのよ。
心の叫びをしまい込み、自転車を受け取った。
「おーめでとーございます」
大きな声がもう一度かかり、カランカランとその手に持っていたベルを商店街のおじさんが鳴らす。
すると誰もうれしくないだろう景品のことは忘れ、その場にいた全員が拍手をした。
「……ありがとうございます??」
やや疑問形なりながらもお礼を述べてから自転車を受け取り、そのまま私は押し始める。
まだ汗ばむ季節にどんな罰ゲームなのだろうか。
乗れない自転車を、坂道で押していくしかないという苦行だ。
押せば押すほど、こみ上げてくるのは怒りしかない。
これを特賞に選んだ人は、こんなことまで考えなかったのだろうか。