迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
地に残る未練(七)
「あのなぁ、霊魂と怪異とは根本が違うんだ。怪異とは人には見えずに存在するモノだが、霊魂は死んだ後に残る思念体に過ぎない。生きていた頃の意志も、次第に薄れ全く別の物へと変化していく。そんなモノと約束を交わすことが、いかに危険な行為なのかを少しは考えろ」
「そんなこと言ったって、可哀相でしょ。それに間違えさせてしまった私にも責任があるんだもん。それにこのままにもしておけないし」
なんとかなるなんて、そんな楽観的なことを考えてるわけではない。
しかし、かと言ってこのまま見捨てることもできそうにない。それが本音だ。
夕暮れにさしかかり、視線を合わす私たちの間を山風が吹き抜けていく。
昼間までのジトジトしたものではなく、少し秋を思わせる風だ。
「あー。俺はどんな事態になっても知らないからな」
先に視線を逸らしたのはシンだ。
そしてそのまま、後頭部をガシガシとかく。
「分かってる、私は言い出したことだから。ごめん、ありがとう。心配してくれて」
そうとなればもう、やることは決まっている。
この子が帰りたがっている家まで送り届けることだ。
そのためには、まずこの子が誰で、どこに住んでいたのかということになる。