迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
地に残る未練(八)
そうとなればもう、やることは決まっている。
この子が帰りたがっている家まで送り届けることだ。
そのためにはこの子が誰で、どこに住んでいたのかということになる。
「さすがに、名前は分かんないよね。でも亡くなったっとこは新聞とかに掲載されているはず」
私は携帯から地域新聞へとアクセスする。
子どもが亡くなるほどの事故ならば、絶対に掲載されているはずだから。
「事故、事故……交通事故…………あった」
今からちょうど一年半前の記事に、この近所に住んでいた子どもが居眠りのトラック事故に巻き込まれたと書かれていた。
地方紙なだけあって、亡くなった子どもの名前も書かれている。
「さなちゃん」
私が名前を呟くと、そのモヤの形が変化する。
そう、ちょうど子どもが自転車にちょこんと乗っている影ののうに。
その姿を見るとどうやらそれで間違えなかったようだ。
「良かった。これで名前がわかったか、あとは届けてあげれば、ね?」
そう言いながら、シンを見上げたが相変わらずシンは固い表情のまま。