迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
地に残る未練(十)
今度こそ、シンを真っすぐ見て思いを伝える。
分からないなら、分からないなりに動くしかない。
結果いい方に転がらなくても、このままこの子をここに乗せておくわけにもいかないのだから。
「俺は手伝わないぞ」
「分かってる。これは、私がやりたくてしていることだから」
綺麗ごとだということは、私も心のどこかで分かっている。
しかし拾ってしまった以上、捨てることなどできないのだから。
「勝手にしろ」
それだけ言い捨てると、シンはぷいっとそっぽを向いた。
本当に勝手にしろというのならば、この場から立ち去るのではないかと思ったことは、私だけの秘密だ。
さなちゃんの名前から、地域の地図を照らし合わせれば家を把握できるはずだ。
しかし携帯からはさすがに地域の地図は検索出来ない。あれは各戸に配られた紙しかないはずだ。
「どこか、見せてもらえるおうちって言っても、知り合いとかいないのよね」
いきなり知らない人の家を訪ねるわけにもいかないし、ましてや商店街まで戻るには距離がある。
この近くで、力を借りられそうなところなんて。