迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
第十三章
交差する想い(一)
「で、これが知り合いと迷子か」
シンとさなちゃんを見つけた戒は、大きなため息をつきながら額に手を当てた。
まともな反応といえばそれまでなのだが、なんとなく気まずい。
「千夏、地図借りに行って変なもんまで拾ってくるなよ」
呆れているのは、シンも同じようだ。戒を見た瞬間から、明らかに機嫌の悪さを隠そうともしない。
「いや、これは、その。私が地図だけでは迷子になるんじゃないかって……、つまり兄心? みたいな」
「ぶっ。なんだ、兄心って」
シンのツボだったのか兄心の一言で、口元を押さえながら笑い出す。
なにに対してウケているのかは全く分からないが、これでとりあえず一人は大丈夫そうだ。
「兄心って、おまえ、もう一度小学生からやり直したらどうだ」
「いやいや、戒さん。どうだと言われても、親ほど離れてないんだから兄心以外ないでしょう」
「だってよ、残念だったな。おにいちゃん」