迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
力の暴走(三)
受け入れられない悲しみというのは、母にということなのか、自身の望みにということなのか。
しかし、下の子出来たということで自分の居場所がすでにないと理解してしまったのだとしたら……。
でもどちらにしても、この暴走を招いたのは私だ。
シンは初めからこれを警告していたのに。
それでも今、私を庇おうとしている。
でも、それでは絶対にダメ。
私が言い出したことなのだから、私がやらないと。
吹き出す風は、震わす心を表すようにだんだん強くなっていく。
そしてそれは、モヤであるさなちゃんを台風の目として大きな輪を作り出していった。
「……くそっ」
その風圧から、戒がとうとう自転車を手放す。
それでも自転車はさなちゃんの支配下にあるように、この風の中でも倒れることはない。
「さなちゃん、落ち着いて。悲しいのは分かる。でもお母さんはあなたを忘れたわけではないのよ」