迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
力の暴走(四)
声が届くかなど、わからない。
こんなになっても、私はさなちゃんの願いがわからないのだから。
でもそれでも、言葉を紡がずにはいられなかった。
「さなちゃん、ダメだよ。こんなこと。悲しくても、辛くても、これはダメ。さなちゃんが壊れてしまう」
立っているのがやっとでも、私はさなちゃんへとの距離を縮めていく。
一歩ずつであっても、なんとかしてさなちゃんのところまでは行かないと。
「千夏、ああなったらもう、人の言葉など通じないぞ」
「でもやってみないとわからないし。ここに連れてきてダメなら他の方法を探すって、私が言った。だから」
「それは暴走する前の話だろうが」
「暴走してたって、してなくなって関係ない。やるって言って途中で放り投げるのは卑怯だもの。まだダメだって決まったわけじゃない。あの子は悲しくて泣いているだけ。私たちの言葉も絶対に通じてるもの」