迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。
得体の知れない恐怖(二)
「戒に言おうと思ってたけど、私は次の長になるつもりないからね」
「おまえ、それ本気で言ってるのか」
「本気も何も、こんな小さな町の長になったところで別にメリットがあるわけでもないし。私は父さんがどうしても帰るっていうから仕方なくついてきただけで、高校を卒業したら友達のいる向こうに帰りたいもの」
長候補は現在二人。
私が辞退すれば、すんなり戒に決まるだろう。
元々、怪異とかそういうのに無縁で来たし、たまたまシンが力を貸してくれていたから切り抜けられただけ。
そんな心もとない私が長になったところでなんの意味もない。
「長を断ることがどういうことか分かってるのか?」
「ただの権利の放棄でしょ? それになんの力も知識もない私がなったところで、意味がないでしょ」
「まぁ、千夏は使えないからな」
「シン、それ言い方。もっと、別の言い方あるでしょうに」
「ははははは。でも、本当のことだろう?」
「それはそうだけど……。ということで、あの場では言えなかったけど、長になる気はないから」
「……」