淋しがりやの足跡
「いつか元気になったら、写真の撮り方を教えてね。おじいちゃん」
そう言って笑う草一に、史郎さんは曖昧な笑顔を見せた。
その時。
病室の扉が勢いよく開いて。
私達はその大きな音に驚いて、扉のほうを見た。
「ずりィーぞ、草一っ!!あたしだっておじいちゃんに会いたかったのに、抜けがけしやがって!!」
大声で登場したのは、草一の姉の百花だった。
「でっけぇ声出すなよ、ブス!!病院だぞ!!」
眉間にシワを寄せて注意する草一の声も、大きい。
「は?ブス!?言っとくけど、あんたより百倍可愛いからね、あたし!!」
「何基準で百倍とか言ってんの?つーか、自分の過大評価、マジうぜぇ」
姉弟ゲンカが始まってしまった。
それを史郎さんはニコニコと見ている。
「ちょっともう、やめなさい。ふたりとも」
間に入って言うと、
「だっておばあちゃん、こいつが!!」
と、姉弟の声が揃った。