淋しがりやの足跡
そのことで史郎さんが声をあげて笑ったので、百花も草一もケンカをやめて、史郎さんと一緒に笑った。
「……でもなんで草ちゃんがここに居るってわかったの?」
私の問いかけに、百花はこう答えた。
「え?お母さんからメッセージが来たんだよ。『草ちゃんがおじいちゃんの所に行くけど、百花は行かなくてもいいの?』って」
そしてピンク色に染めた長い髪の毛を、ピアスで飾った耳にかけつつ、
「そんじゃあ私も!って思ってさー、授業もサボって来ちゃった!」
と、笑った。
「本当にあんた達って……」
(……史郎さんが、大好きなのよねぇ)
それから。
百花と草一は、史郎さんに学校の話などをした。
勉強のこと。
友達のこと。
流行っている遊びのこと。
史郎さんがふたりに聞く。
「将来は何になりたいんだ?」
草一は史郎さんをまっすぐに見て、
「オレ、大人になったら、シナリオライターになりたい」
と、言った。