淋しがりやの足跡
これからは体調の変化など、君にきちんと伝えるように気をつけます。
体温はもう平熱まで下がっているので、心配無用です。
史郎より』
毎日。
黄色い交換ノートは、史郎さんと私の間を行ったり来たり。
読み返してみると。
日常のなんでもない話。
遠い昔の思い出話。
他愛のないことばかり。
今日。
病室で。
史郎さんの寝顔を見ていると、たまらなく怖くなった。
お見舞いに行っても、史郎さんが眠っていることが増えている。
この間から交換ノートの史郎さんの文字が、力のない震えた文字になってきていて。
史郎さんが苦しそうにしている時間は、確実に増えている。
「まだ卒業しないでしょう?」
眠る史郎さんに、問いかけた。
静かな寝息が聞こえて。
淋しさに押しつぶされそうよ、史郎さん。