淋しがりやの足跡
「史郎さん、ごめんなさい」
私は握った手に、ほんの少し力をこめた。
「……ごめんなさい」
史郎さんの生きる力を。
否定するようなことを言ってしまった。
誰よりも信じなくちゃいけないのに。
信じきれない私で。
本当に、ごめんなさい。
握っていた手を離すと。
うつむいた私の頭に、優しいぬくもりを感じた。
史郎さんが、私の頭を撫でていることに気づいた。
「……ごめんな」
やっぱり力のない声だったけれど。
史郎さんが言ったの。
はっきりと。