4番目の彼女
「きぃちゃん。また俺から連絡するね」

「……うん。わかった」

 オーライオーライ。私からは連絡するなってことね。
 本命がちゃんといるから、弁えなさいよ……と。
 いいでしょう。すっかり遊び人になった徹志くんよ、ここではっきりさせておこうじゃないか!
 クリスタルトロフィーに彫刻された英文字を指先で撫でながら、精一杯明るく声を掛ける。

「ねぇ、一応聞くんだけど……何番目?」

「……4番目」

「そっか。じゃあ、また気が向いたら連絡して」

 口紅を塗りなおした私は、とびきりイイ女ぶって部屋を出た。

 本命一人くらいは覚悟していたが、まさかの4番手!
 ショックはでかいが、セフレ上等!私だってたまに『ソウイウコト』したいな要員として存分に利用させて頂こう!
 週一で他の女と会うとして4番目なら月一回程度の逢瀬になるだろう。なんとなく、今の私にはちょうどいい感じじゃないか。

 絶対本気になったりしない。
 夢中になったりしない。
 相手に依存したりしない。
 そんな相手が今はちょうどいい。
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