4番目の彼女
「ん?」

「それ……徹志くんがいつも使ってるの?」

「そうだよ、きぃちゃんも使う?」

 そういうと、徹志くんはオイルまみれの両手を私の頬にぐりぐりとこすりつけた。

「やめてよ~。私はメイク落としたくないからっ」

 私たちはメイク落としオイルをこすりつけあった挙句、水もかけあい二人で笑いあった。おかげで二人とも水浸しである。

「まさか、メイク落としが徹志くんのだったなんて」

「誰のだと思ったの? きぃちゃんもそういうこと思ったりするんだ。ヤキモチってやつ?」

「そういうんじゃない。……こともない」

 彼は腰に腕を回して私を引き寄せると、少し甘えたような顔をして耳元でささやく。

「うれしい。可愛いとこあるよね、きぃちゃん」

「私は可愛いとこだらけです」

「じゃあ、一緒にシャワー浴びて、可愛いところもっといっぱい見せて」

 腰に回していた手は素早く背中へと登り、右手でブラのホックを外したかと思うと左手はもう胸を包み込んでいた。

「やだぁ」

「だって、こんなに濡れた服じゃ、乾くまで帰れないし、ね」

 優しく髪を撫でられたから、そこに高性能乾燥機能付き洗濯機があることは知らないふりしておいてあげることにした。
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