4番目の彼女
 中学二年の文化祭。私が所属する書道部ではすでに三年生は引退しており、私が部長を務めていた。
 『掲示ではなくなにか特別な事をしたい』という女子部員が勝手に申し込んでいたステージ枠のことは、時間割り当て表が届いて知った。

 なぜ、勝手に申し込んだのか。なぜ相談しなかったんだ。と彼女を責め立てるように言ってしまった。
 それがまるで私が彼女をいじめているように部員達には伝わっていた。それでもなんとか書道パフォーマンスをするという内容を決め、実行委員会に伝え、練習を始めた。

 しかし、いざ練習が始まると演目の中身や衣装の提案にはノリノリだった言い出しっぺの女子部員は、実現するには様々な準備や練習が必要なことを知ると早々に投げ出してしまった。
 そしてそれに連れ立って他の部員もやりたくないと言い出し、抜けてしまった。

 私は部長としての責任感から、やらないという選択肢はなかった。ステージの時間に穴が空くと他に迷惑がかかるし、それ以上に一度言ったことはやりきりたかった。

 結局私は他の部員を説得できず、一人でステージに上がった。
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