4番目の彼女
 ──さすがダンススクールの代表、派手だわ。

「……でありまして、今後も子供たちの育成のため、様々な可能性を持ったイベントを開催していきたいと思っております」

 パチパチパチパチ。大きな拍手を浴びながら降壇した代表に、早速とばかりに女性が群がっていった。

 すごい。肉食女子すごい。やっぱりダンスをやっている女性が多いのか露出された足は引き締まってるし、お尻もキュッとあがってる。普段運動しない私とは大違いだ。カッコいいな。
 ちょっとワンピースを着てイケてるかもと勘違いしたさっきの私を殴りたい。

 代表の方に挨拶しないといけないけれど、この様子なら少し落ち着いてからの方がいい。

 おとなしく、さっきから気になっていたズッキーニのピンチョスを摘まもう。
 いくつかの料理を選んで、邪魔にならないよう空いているテーブルについたとたんに声を掛けられた。

「きぃちゃん。ひさしぶり!」

 きぃちゃんとは私の小・中学生時代のあだ名である。高橋希(たかはし のぞみ)の漢字が希望の『き』だからである。ちなみに高校以降は『のん』と呼ばれている。
 声を掛けてきたのは、先程の派手代表さんだ。

おぼろげながら記憶の中にあるくっきりとした眉と左目の下のほくろ。



「もしかして……徹志(てつし)くん?」
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