4番目の彼女
3.二人の思い出
会沢徹志 小・中学の同級生。ダンス好きで野球部員の彼はどちらかというと硬派でストイックで、女子になんて興味ありませんという顔をした少年だった。
からかい半分でちょっかいをかけてくる男子が苦手だった私は、ほんの少しだけ彼に好感を持っていた。
だけど、それが恋へと育つ前に私の思いは届かないものとなった。
唯一ともいえる二人の接点として記憶に残る思い出、あの書道コンクールの作品。
中学2年生の書道コンクールでは、みんながそれぞれ好きな言葉を書いて提出するものだった。
私はいくつか並んだ見本の言葉から「初志貫徹」を選んで書いた。小学時代から習字を習っていたし、我ながら上手く書けたと思ったその作品は入賞し、クラスの後ろの掲示板に貼りだされ、誇らしかった。
そんなある日の放課後、理科室の掃除当番を終えた私が教室にもどると、破れた半紙をセロテープで丁寧に止めてくれている徹志くんの姿があった。
「ごめん。破っちゃって」
「いいよ。わざとじゃないんでしょ。大丈夫だよ」
「いや、わざと。わざと破った。ごめん」
「なんで?」
そのまま黙り込んでしまった彼から半紙を受け取って、教室を後にした。
その日以降、私たちはなんだか気まずく、話しかけることもなくなって微妙な距離感を抱えたまま卒業したのだ。
からかい半分でちょっかいをかけてくる男子が苦手だった私は、ほんの少しだけ彼に好感を持っていた。
だけど、それが恋へと育つ前に私の思いは届かないものとなった。
唯一ともいえる二人の接点として記憶に残る思い出、あの書道コンクールの作品。
中学2年生の書道コンクールでは、みんながそれぞれ好きな言葉を書いて提出するものだった。
私はいくつか並んだ見本の言葉から「初志貫徹」を選んで書いた。小学時代から習字を習っていたし、我ながら上手く書けたと思ったその作品は入賞し、クラスの後ろの掲示板に貼りだされ、誇らしかった。
そんなある日の放課後、理科室の掃除当番を終えた私が教室にもどると、破れた半紙をセロテープで丁寧に止めてくれている徹志くんの姿があった。
「ごめん。破っちゃって」
「いいよ。わざとじゃないんでしょ。大丈夫だよ」
「いや、わざと。わざと破った。ごめん」
「なんで?」
そのまま黙り込んでしまった彼から半紙を受け取って、教室を後にした。
その日以降、私たちはなんだか気まずく、話しかけることもなくなって微妙な距離感を抱えたまま卒業したのだ。