王室御用達の靴屋は彼女の足元にひざまづく
翌日、フリッツを伴って陽菜が訪れた。
「お姉ちゃん!」
陽菜が泣き笑いの顔で晴恵に抱きつく。
男物のシャツをワンピースのように着ている晴恵を見てから、フリッツがニコニコと檜山に笑いかける。
なぜか陽菜は姉の腕の中から檜山を睨みつけた。
「お姉ちゃんが迎えに来てくれた日に、この人に怒られたの。『大人のくせに肉親に迷惑かけるな』って! 『貴方こそ、お姉ちゃんのなんなの?』ってキレて怒鳴ったら」
なんと答えたのか。
チラッと檜山を見たら、目をそらされた。
「『押しかけてきた女房に、まんまと惚れさせられた男だ』って。お姉ちゃん、こんな失礼な人と結婚なんてしないよね? 私、たしかに甘えているけど、迷惑かけてないよねっ?」
必死に姉へ訴えかける彼女にフリッツが苦笑した。
檜山は不機嫌な表情を崩さないで辛辣に言う。
「全身全霊で寄りかかれる男がいるんだ、これ以上晴恵を欲しがるな」
檜山は姉と妹を引き剥がすと、晴恵をしっかり囲い込む。
晴恵に腕を伸ばす陽菜を、フリッツが動けないように抱きしめた。
男達の息の合った連携プレーに、晴恵は目を白黒させるしかない。
「だって、お姉ちゃんは私のお姉ちゃんで!」
陽菜が悔しそうに叫ぶ。
「陽菜、僕と結婚出来て幸せでしょう? 晴恵も彼女自身の幸せを追うべきだよ」
婚約者に諭されて、陽菜は地団駄を踏んだ。
「お姉ちゃん!」
陽菜が泣き笑いの顔で晴恵に抱きつく。
男物のシャツをワンピースのように着ている晴恵を見てから、フリッツがニコニコと檜山に笑いかける。
なぜか陽菜は姉の腕の中から檜山を睨みつけた。
「お姉ちゃんが迎えに来てくれた日に、この人に怒られたの。『大人のくせに肉親に迷惑かけるな』って! 『貴方こそ、お姉ちゃんのなんなの?』ってキレて怒鳴ったら」
なんと答えたのか。
チラッと檜山を見たら、目をそらされた。
「『押しかけてきた女房に、まんまと惚れさせられた男だ』って。お姉ちゃん、こんな失礼な人と結婚なんてしないよね? 私、たしかに甘えているけど、迷惑かけてないよねっ?」
必死に姉へ訴えかける彼女にフリッツが苦笑した。
檜山は不機嫌な表情を崩さないで辛辣に言う。
「全身全霊で寄りかかれる男がいるんだ、これ以上晴恵を欲しがるな」
檜山は姉と妹を引き剥がすと、晴恵をしっかり囲い込む。
晴恵に腕を伸ばす陽菜を、フリッツが動けないように抱きしめた。
男達の息の合った連携プレーに、晴恵は目を白黒させるしかない。
「だって、お姉ちゃんは私のお姉ちゃんで!」
陽菜が悔しそうに叫ぶ。
「陽菜、僕と結婚出来て幸せでしょう? 晴恵も彼女自身の幸せを追うべきだよ」
婚約者に諭されて、陽菜は地団駄を踏んだ。