絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
甘いクリームがたっぷりついたロールケーキをお皿に乗せてテーブルの前に置くと、すばやく着席して手を合わせた。さくっとフォークを一刺し、おもいっきり頬張る。
「ん~最高! 休日はこれよこれ!」
甘い誘惑に落ちていくこの感じが心地よい。
その後も美澄はだらだらと家で過ごした。夕飯は余り物のカレーを温めるだけにし、いつもよりも早くお風呂に入って湯冷めしないうちにベッドにもぐりこんだ。登録していた動画チャンネルを次々眺めながらいつの間にかうとうと船を漕ぐ。これこそが至福のひととき。
八重から改めて連絡が届いたのは深夜過ぎのことだった。うっすらと瞼を開けた際、点滅するメッセージをぼんやりと見たような気がしたけれど、睡魔に負けてスマホを手放していた。
まあいいや、朝になったらにしよう――。
実際、美澄が起きたのは昼過ぎだった。寝落ちしたまま惰眠を貪っていたことを彼女は激しく後悔した。
「――待って。冗談でしょ!?」
がばっと布団を捲りあげる勢いで、美澄はベッドから起き上がった。
肩の下まで伸びた髪の毛はボサボサで、顔はむくんでいる。スマホの画面を目で追ううちに、貧血気味の彼女の白い肌は、よりいっそう青白くなっていく。
『明日の夕方、私の名前で予約してあるから。ちょっと可愛くお洒落をして出てきてちょうだいな。件(くだん)の透(とう)夜(や)さんが待っているから。よろしくね』
メッセージと共にお洒落なレストランの写真が添えられていた。そこは『porte(ポルト)-bonheur(ボヌール)』という有名なフレンチのお店だった。
その下に、可愛い女の子がフレーフレーと応援しているスタンプが押されていた。
美澄はぽかんとしてその文面を再度目で追った。
「いやいや。透夜さんって、誰!?」
頭がぼうっとして思考が追い付かない。たしか、東雲総合病院の院長のご子息がどうとか、八重が嬉々として話をしていたような。
八つ年上の外科医だとか。それ以外にも色々なオプションが搭載されていた気がするけれど、もう思い出せない。
【むりむり。八重さん、私お見合いなんてしないからね。無理だよ】
何度連絡を入れても応答がない。既読すらつかない。これはあえて通知すらオフにし、未読スルーをしているのだ。
「待って。どうするの。このまま知らないふり……だめか」
「ん~最高! 休日はこれよこれ!」
甘い誘惑に落ちていくこの感じが心地よい。
その後も美澄はだらだらと家で過ごした。夕飯は余り物のカレーを温めるだけにし、いつもよりも早くお風呂に入って湯冷めしないうちにベッドにもぐりこんだ。登録していた動画チャンネルを次々眺めながらいつの間にかうとうと船を漕ぐ。これこそが至福のひととき。
八重から改めて連絡が届いたのは深夜過ぎのことだった。うっすらと瞼を開けた際、点滅するメッセージをぼんやりと見たような気がしたけれど、睡魔に負けてスマホを手放していた。
まあいいや、朝になったらにしよう――。
実際、美澄が起きたのは昼過ぎだった。寝落ちしたまま惰眠を貪っていたことを彼女は激しく後悔した。
「――待って。冗談でしょ!?」
がばっと布団を捲りあげる勢いで、美澄はベッドから起き上がった。
肩の下まで伸びた髪の毛はボサボサで、顔はむくんでいる。スマホの画面を目で追ううちに、貧血気味の彼女の白い肌は、よりいっそう青白くなっていく。
『明日の夕方、私の名前で予約してあるから。ちょっと可愛くお洒落をして出てきてちょうだいな。件(くだん)の透(とう)夜(や)さんが待っているから。よろしくね』
メッセージと共にお洒落なレストランの写真が添えられていた。そこは『porte(ポルト)-bonheur(ボヌール)』という有名なフレンチのお店だった。
その下に、可愛い女の子がフレーフレーと応援しているスタンプが押されていた。
美澄はぽかんとしてその文面を再度目で追った。
「いやいや。透夜さんって、誰!?」
頭がぼうっとして思考が追い付かない。たしか、東雲総合病院の院長のご子息がどうとか、八重が嬉々として話をしていたような。
八つ年上の外科医だとか。それ以外にも色々なオプションが搭載されていた気がするけれど、もう思い出せない。
【むりむり。八重さん、私お見合いなんてしないからね。無理だよ】
何度連絡を入れても応答がない。既読すらつかない。これはあえて通知すらオフにし、未読スルーをしているのだ。
「待って。どうするの。このまま知らないふり……だめか」