今夜、私は惑わされる。
「……実はね、私も助けてもらったことがあるの」
「そうなんだ……」
あの時、闇の王子さんが助けてくれなかったら、私は今頃どうなっていたんだろう……?
想像しただけで、怖い。
「また、会いたいな。会って、もっと仲良くなってみたい」
「……七葉ちゃんにとって、大切な人なんだね」
キーンコーンカーンコーン……
学校のチャイムが鳴る。
「もっと話したかったのに、チャイム鳴っちゃったね」
「そうだね」
私ははじめ君に向かって、手を振って教室に戻ろうとした。
すると、
「七葉ちゃん!絶対、会えるよ」
大きなはじめ君の声。
ほんとに、会えたら……
一緒におしゃべりしたい。
“闇の王子”さんのことをもっと知りたい。
「はじめ君、ありがとう!!」
この時、本当に会えるような気がしたんだ。