今夜、私は惑わされる。
「忙しい時は来れないけど、それ以外なら会えるよ」
浅羽くんとこれからも会えるということ、その事実が私をより嬉しくさせる。
「なな、嬉しい?」
「もちろんだよ!」
今さっきから嬉しすぎて、頬が緩みっぱなし。
浅羽くんは腕時計を確認する。
「もう、こんな時間。明日も来るから、気をつけて帰りなよ」
肩をポンポンっと軽くたたかれる。
触れられたところが熱い。
「浅羽くんも気をつけてね」
「じゃあな。また明日」
浅羽くんはバイクにまたがった。
「また明日」
ブルルルル……
そして、走り出した。
早く明日が来ないかな……。
ちょっと気だるいこともこれから、全力で頑張れる気がする。
だって、明日は浅羽くんと会えるから。
あの日だけしか会えないと思っていた浅羽くんに会えるから。