今夜、私は惑わされる。
「ななは、何の食べ物が好き?」
浅羽くんが私に会いに来てくれた翌日。
学校の帰り道、二人でおしゃべりをしている。
好きなものをお互いに話し合ったりとか。
「甘いものかな。浅羽くんは?」
「俺は甘いものは無理かな……」
浅羽くんと喋って分かったことがある。
それは、あまり共通点がないということ。
好きなもの、食べ物、血液型……その他諸々。
だけど、誕生日はなんと、一日違い……!
「最近、なな、学校楽しい?」
「楽しいよ」
「そっか、なら良かった」
浅羽くんはどうなんだろ……?
浅羽くんの通っている学校は知らないけど、楽しいのかな……?
「俺も楽しいよ。そして、最近、気になる子が出来ちゃった」
「き、気になる子?!」
浅羽くんの気になる子ってどんな子なのかな……?
やっぱり美人で可愛いのかな。
「気になる?」
口に笑みを浮かべている浅羽くん。
「……いじわる」
「何?聞こえなーい!」
「教えて!」
浅羽くんのことを王子様って今も思ってるけど、なんか、いじわる……。
「なな」
「へ?」
口から思わず素っ頓狂な声が出てしまう。
「ななのこと、気になってる」
「!……」
急なことすぎて、驚くことしか出来ない。
「ななは、俺のこと気になってる?」
「ひ、秘密ですー!」