今夜、私は惑わされる。
あのバイクに乗って浅羽くんの背中に抱き着いたときの心地良さ、安心感。
そして、胸の高鳴る気持ち。
これは、きっと恋に違いないだろう。
授業中、放課後。
それ以外の時も、私は無意識に浅羽くんのことを考えてしまう。
「えっ!誰?この学校の人?」
「……秘密」
「教えてよー!!」
浅羽くんは“闇の王子”で校内でも怖がられてる。
だから、吉良には言わないでおこう。
きっと、心配されるから。
浅羽くんはあんなに優しくて、かっこいいのに。
「はじめ君!お待たせ」
「大丈夫。全然待ってないから」
吉良と喋ったあと、私は急いで校舎裏に向かった。
校舎裏には、はじめ君が居て手には一冊の本を持っていた。
「なに読んでたの?」
「小説だよ」
はじめ君の持っている小説の表紙を覗き込んだ。
む、むずかしそう……。
「これは……?」