今夜、私は惑わされる。
デート
「なな。俺と一緒に出かけないか?」
神妙な顔つきをした浅羽くんが、私をお出かけに誘っている。
「え……?」
あまりにも急な誘いに動揺してしまう。
「……一緒にカフェとか行けたらいいなっと思って」
浅羽くんには似合わない、緊張した顔つきだ。
「嫌ならいい……
「行く!」
浅羽くんの言葉を遮るように、答える。
浅羽くんと出かけるなんて、初めて……!
いつもは二人でおしゃべりをするだけだった。
好きなもの、最近あったこと……
浅羽くんと喋れることだけでも幸せなのに、まさか、お出かけに誘ってなくれるなんて……。
嬉しいな。
「……ほんとに?」
「本当だよ。楽しみだな〜」
頭の中で、色々なお店を思い浮かべる。
思わず、顔がニヤけてしまう。
すると、それを見たのか、隣からクスッと笑い声が聞こえてきた。
浅羽くんの方を見ると、
「なな、面白すぎる」
大笑いしている!?
「私の何が面白かったの?」
「百面相してたから」