今夜、私は惑わされる。


私、そんな顔してたかな……?


顔を両手で隠す。


すると、いきなり隠していた手をはがされる。



「隠しちゃだめ、可愛い顔見せてよ」



ぐっと浅羽くんの顔が近づいてくる。


わっ……かっこいい。


あまりのかっこよさ、恥ずかしさに目をそらす。



「俺の目、見て?」


「……嫌だ」



今、目を合わせたら心の中が全部よまれてしまいそう。



「なな、俺もう帰るね」



えっ……なんで急に?


バイクに乗って走り出そうとする浅羽くん。


待って……いかないで……



「帰っちゃだめ」



浅羽くんの服の袖を掴む。


そして、顔を見ると



「やっと、目合わせてくれた」


「え?」


「ずっと、目合わせてくれないから、意地悪した。ごめんね」



もしかして、わざとってこと?



「俺が帰るって言った時、目潤んでて可愛かった。もしかして、俺のこと好きになった?」


私の頭をなでながら言う浅羽くん。


浅羽くんに触られるのは心地よい。



「……触られるの嫌じゃないし、私は浅羽くんのこと、好きだよ?」


心臓が爆発しそうなほど、高鳴っている。



「俺も好きだよ」



思いっきり抱きしめられる。


背の高い浅羽くんの胸に私はすっぽり、おさまってしまった。



「なな、心臓やばいね」


「……言わないで」






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