今夜、私は惑わされる。
私の家へと続く道をはじめくんと一緒に歩いていく。
私の手ははじめくんに掴まれたまま。
「あの、はじめくん」
「ん?どうした?」
「そろそろ手……」
「あ、ごめん!」
私がはじめくんに手を掴んだままだということを伝えると、はじめくんは飛び上がるかのような俊敏さで手を離した。
はじめくんの顔が真っ赤なのを見て、こっちまで恥ずかしくなってくる。
「この前はよくもやってくれたなぁ!」
急に大きな声がして私達の目の前に現れた金髪の男の二人組。
見た瞬間、頭が真っ白になった。
私が拉致された時に浅羽くんにやられていた二人だったから。
どうしよう……。
怖い、怖い……。
恐怖が頭の中を支配する。
すると、
「大丈夫だよ」
はじめくんが私の目の前に立った。
「今日はSignalの総長いねぇから、この女好きに出来るんじゃね」
「じゃ、いっちょやるか。こいつ弱そうだし」
そう聞こえた瞬間、男の人達がはじめくんに向かって襲いかかった。
もうダメだと思った。
だけど、目の前に居るはじめくんは男の二人組を一瞬でも倒してしまった。
「な、なんで……?」
「なな、大丈夫か?!」
聞いたことのある声。
聞いたことのある言葉。
私は背伸びをして、はじめくんの眼鏡を取った。
そこには悲しそうに顔を歪める浅羽くんが居た。