今夜、私は惑わされる。









「清さん!浅羽くんは!」


「ここだよ、ななちゃん」



清さんに教えてもらった病室に行くと、沢山のチューブで繋がれた浅羽くんの姿があった。


久しぶりに見る、浅羽くんは何だか痩せているような気がした。



「お医者さんによると一命はとりとめたらしい。でも、目を覚ますかは分からないって言われた」



恐る恐る浅羽くんに近づき、ギュッと手を握る。


お願い、目を覚まして浅羽くん。


目を覚ましたとき、浅羽くんが私を嫌いでもいい。


ただ、無事でいて。


目から涙が溢れる。


なんで、あの時何も言えなかったんだろう。


はじめくんの正体が浅羽くんだって分かったときも何も言えなかった。


ねぇ、このまま、お別れなんて嫌だよ。



「お願い、浅羽くん。目を覚ましてよ」


「そうだぞ!浅羽、目を覚ませよ」



隣にいる清さんも泣いている。


浅羽くんの手をいくら握りしめても、身体を揺らしても浅羽くんは目覚めなかった。





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