これからもどうぞよろしく
「……俺は、優里が好きなものをあげたかったんだよ……」
苦い顔をしながらそう言いつつも諦めたようにチョコに手を伸ばした秋に、胸がくすぐられるような、そんな気がした。
「結果的に好きになったんだし、別に良くない? 秋のおかげだよ」
それを誤魔化すように笑いかけた私の瞳を秋の視線が捉える。
じ……とこちらを見つめる黒い瞳がすぅと細まった。
いつのまにやら口元には緩やかな弧を描いていて。
「……そうだな。そんなところを好きになったんだろうな」
「はい!? 今そんな話してないでしょ!?」
一体急に何!?
予想もしてなかった秋の言葉は、私の不意をつくには十分すぎるもので。
私の反応に気を良くしたのか、益々笑みを深めた秋は、瞳に込められた熱を隠しもせずに堂々としている。
「……」
「……」
「……その目やめて」
喉から出たのは、笑っちゃうくらい消え入りそうな声だった。