これからもどうぞよろしく
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ぱくり。
じんわりと広がる甘さが疲れた脳に染み渡る。
「ん〜〜」
パタンとパソコンを閉じて、ぐっとひと伸びすれば、凝り固まった身体が少しだけ和らぐような気がした。
「お疲れ」
後ろからかかる声とともに、すっと伸びてきた腕。
ことりと小さな音を立てて置かれたマグからは、湯気とコーヒーのいい香りが漂ってくる。
「ありがと」
そう言って微笑めば、向かいに座った篠崎──もとい、秋がどういたしましてと微笑み返す。
その手には私と色違いのマグがあり、中身はきっといつもの甘いカフェオレだろう。
「ごめんね、せっかくの休日なのに」
別に何か予定があったわけではないけれど、それでも休日に家で持ち帰った仕事をすることに、罪悪感が湧かないはずがなかった。
しかもそんな私に嫌な顔ひとつせずに、こうやって時間を見計らってコーヒーまで入れてくれる秋に、余計に胸がちくりと痛む。