これからもどうぞよろしく
「気にすんなよ。それよりもう終わったのか?」
「うん。元々そんなに量は多くなかったし、本当はもうちょっと早く終わらせたかったんだけど」
「無理はすんなよ。とりあえず一息つこうぜ」
そう言ってマグに口をつけた秋に、すっと心が軽くなる。
いつもこうやって気遣ってくれる秋に、私はちゃんと何かを返すことができてるのだろうか。
口に含んだコーヒーはすっきりとした苦味で、ホッとするような暖かさだった。
いつのまにかテーブルに用意されていたクッキーをかじりながら、ふと持っているチョコレートに思いを馳せる。
息をつきたい時に食べるようになったのは、いつ頃からだっただろうか。
クッキーの隣にそのチョコレートを並べれば、それに気づいた秋がクッキーへと伸ばした手を止めた。