これからもどうぞよろしく
「あのさ」
「うん?」
「私も言わないでおこうかなって思ってたことがあるんだけど」
おもむろにチョコレートを手に取って眺めていると、体を起こした秋が続きを促すようにこちらを見つめる。
あの頃とは随分と変わってしまったパッケージに、重ねた年月をしみじみと感じてしまう。
「実はね私、昔は甘いもの、そんなに好きじゃなかったの」
「……は?」
「あ、今はもちろん好きだけどね!」
ぽかんと口を開けたまま微動だにしなくなった秋に、誤解のないようそう付け足した。