ライム〜あの日の先へ

鈴子はまぶしいほどに輝いて見える琴羽の姿から目をそらすように小さく頭を下げた。

ーーやっぱり、凄い。零次くんがずっと憧れていた女性。どこか、他のママさん達とは違うと思っていたけれど。ただここに居るだけでまぶしいくらいのオーラを感じる。

「昨日はありがとうございました。凛は大丈夫です。今、検査に行ったので一旦帰宅します」

「鈴子先生も少し休んでくださいね」

「……ありがとうございます。
ハルトくんママはこんなに早くからどうされたんですか？」

「私は大量の洗濯物を取りに来たついでに、父の生存確認を。うちの父は、ほとんど病院に住み着いているので」

入院のことを『住み着いている』と表現しているのだろうか？
鈴子はどう答えたらいいのか迷ってしまう。

「こんな言い方したら、困ってしまいますね。すみません。父はここで働いているんです」

「お医者様、なんですか？」

「えぇ。私の周りは医療関係者ばかりなの。
鈴子先生、帰宅されるなら私の車、乗って行きません？」