ライム〜あの日の先へ
「それで、鈴子はどうするつもりだ」
「凛の異母弟がいる今の職場は辞めようと思う。凛のかかりつけ病院も変える。
とにかく、一条と五嶋から距離置きたい」

鈴子ならそうすると思った。
零次と再会したと聞いた瞬間から一成が予想した選択だ。

「もう一度言うけど。
もし俺が零次と同じ立場だったら、自分の子どもがいるって知りたい。
育てていくことが出来ないならせめてお金の支援だけでもいいから、父親としての繋がりを持ちたい。
きっと零次もそう考えると思うよ。
それに今の五嶋商事の状況は以前とは比べ物にならないほど改善した。今の零次なら凛のことを受け止めることができるかもしれない」

凛を妊娠したとわかった時、一成は今と同じように、零次に知らせようと提案をした。

あの時は鈴子も零次に相談するため彼に会おうとした。
だが、会えなかった。

その時から一人で産み育てていこうと決めた。鈴子の気持ちは変わらない。

< 132 / 231 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop